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2011.02.16

まちづくりの第一歩はPR~地元が気づかない地域資源

この冬、一番思い出に残っている光景は、四国・祖谷渓で早朝に観た「雲海」。放射冷却でぎんぎんに冷えた晴天の朝、谷あいにもくもくと朝もやがわき、雲海となっていく様子は、自然の生業とはいえ、目頭が熱くなりました。

一年のうち一時期にしか発生せず、それも天候により出たり出なかったりの雲海をPR素材として集客に結びつけたのは北海道のトマムリゾート。祖谷溪の雲海はスケールこそ北海道には及ばないものの、長く続けることで12月の風物詩として定着していくことでしょう。

宿泊客を無料で雲海ツアーに連れ出してくれるのは、ホテル祖谷温泉はじめ「大歩危・祖谷いってみる会」の旅館の皆さん。10年前から大歩危・祖谷地区の村おこしを率先しています。

大歩危・祖谷地区は、有名なかずら橋や大歩危峡のほか、うだつの町並み、祖谷の伝統的集落など地味ながら味のある資源が点在しています。その課題は、「いかにその魅力を伝えるか」。多くの地域で共通の課題かもしれませんが、PRを坦ってきたのも「いってみる会」。マスメディアの取材誘導はもちろん、旅行会社のパンフレットへの掲載など積極的な行動で、大歩危や祖谷溪の魅力を地味に、地味に、伝えてきました。その結果は、ファンの多さにつながり、しっかりと地域を支えています。

全国の地域が、PRする際に絶対してはいけないのが観光地の名前の押し売り。地域資源を編集し「物語」にして伝えなくては消費者の心には届きません。その編集作業こそ、地元で担わなくてはいけないのです。12月の雲海ツアーも編集された物語の一環ですが、その資源に多くの地元の方が気づかない!。その点が、まちおこしの決定的問題点だと思います。

出るかどうかわからない雲海のために朝5時に起きるのは勇気がいります。しかし、「今だけ」の素晴らしさを語る宿の方々の声に後押しされ、この日も10人以上の宿泊客が雲海ツアーに参加しました。

待つこと20分。雲海が谷を上ってきます。声にならない感嘆の声があちこちで漏れ、誰もが黙りこくります。間もなく東の空から太陽が上り、雲海は徐々に消えていく。その瞬間、「また見に来よう」という声。その声こそ観光地を創っていくのだと思います。


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