2010.12.19
旅館業「職業能力評価基準」が完成(厚生労働省)
厚生労働省では、「職業能力が適正に評価される社会基盤づくり」の一環として、社員の能力評価のいわば「ものさし」となる「職業能力評価基準」の整備について取り組み、労働者の能力評価やキャリア形成に役立てていますが、その「旅館業」版がついに完成しました。
つまり、旅館業で求められる社員としての能力を、「職種」ごとに「レベル1~4」にまとめたもの。
職種は、「接客サービス」 「調理」 「営業・マーケティング(レベル2~)」 「旅館管理」の4職種と、「共通」部門。
<レベル4>本部長・部長クラス
<レベル3>課長・マネージャー・ベテランスタッフ
<レベル2>主任・チームリーダー
<レベル1>担当者
上記のレベルごとに、必要な職務能力がチェックできるのですが、なかなか、レベルが高いですよ。
例えば...
営業・マーケティング部門のレベル2の能力ユニットのひとつが「商品・価格のプランニング」。
その基準をピックアップしてみると...
●商品の位置づけの評価を行い、商品ごとに適切な市場・顧客層を検討している。
●価格の設定に際しては、コストベースの価格設定と導入期のスキミング価格等をふまえて最適価格を設定している。
などなど。 うーむ、言葉もわからない、という方も少なくないのが現状かもしれません。
確かに、旅館業の商品企画は、旅行業のようなペネトレーション戦略ではなく、スキミング戦略で考えなくてはいけないところ。この評価基準にのっとれば、ほとんどの旅館の価格設定プロセスはアウト!ということになりますね。
この基準策定にあたっては、「佐勘」「明神館」といったしっかりとした旅館に何度も調査に行き、旅館三団体の協力を得た委員会で検討した結果ですので、社員レベルを上げていくにはもってこいだと思います。
現在、モデル評価シート(チェックシート)の検討が続けられています。 わたしも委員として参加させていただいたこともあり、職能基準のセミナーや検定などの普及に努めていきたいと思います。
その目的は、基準の普及により、「能力のある人」が適正に評価され、いざ失業しても、レベルが客観評価されていれば、ハローワークに登録され、再就職しやすいような環境を作っていくことにあります。 旅館業は、人材に支えられたサービス業。 こうした仕組みが広がるといいですね。
旅館職業能力評価基準は、中央職業能力開発協会のホームページからWordでダウンロードできます。