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2010.10.30

これからの10年の課題

来年4月から、関西国際大学(三木市)が経営学科観光・ツーリズムコースを新設します。文部科学省の方針で実業界に身を置く者を「実務家教員」として採用する試みに私も参加し、週3日の神戸暮らしが始まります。

これまで10年間、バブルが崩壊し、人口が減少に転じた経済の過渡期に、私は旅館の事業再生に関わってきました。しかし、その間の最大の課題であり悩みは、地域や旅館を運営する「人材不足」でした。

ハローワークに求人を出しても集まらない。集まってもすぐ辞める。地域の若返りを図りたくても若者は都会に流出し高齢者しか残らない・・・。

そんな現実を目の当たりにし、これからの10年は「人材の発掘と育成」に関わっていこうと考えました。

世の中に観光にたずさわりたいという優秀な人材は決して少なくはありません。もっと長く働きたいという若者もいます。しかし、日本の就業制度は「就職」ではなく「就社」であり、企業と合わなければ、観光業に愛想を尽かし去っていくしかない。そんな仕組みが観光産業を蝕んできたと思います。

その解決なくして観光業の発展はあり得ません。

第1に、旅館のような中小企業にも職能評価制度を導入し、従業員の職業能力を客観的に測ること。現場で培ったノウハウを数値化することで、同一業界内での人材流動性を高めることができます。これは4月から始まります。

第2に、旅行業や運輸業などに就社した人材の中で、総合職として転勤を重ねるのではなく、地域活性化のプロとして地域に関わりたいという人材をプールし、地域の行政や観光業とのマッチングを図る観光人材バンクを作ること。

そして第3に、観光業に夢を持つ若者の育成。観光学の知識習得は不十分に終わるかもしれませんが、観光で社会起業さえできる即戦力を育てること。そんな夢をもって、小さな大学に小さな観光コースを作りました。

旅館に就職したい。そんな若者が増えています。その夢を壊さないことも大切です。実業界と教育界双方の課題解決に関われる10年になればと願っています。


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