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2010.10.08

訪日旅行も大切だが、内需拡大も目指せ

先日、尖閣諸島で海上保安庁の巡視船と中国の漁船が衝突した事件で、1万人の中国人団体旅行がキャンセルになりました。残念な事件でしたが、訪日旅行が常にはらむリスクでもあり、中国人旅行の急伸をバラ色に思っている方々がいるとしたら、よい警鐘になったのではないでしょうか。

政府も、まるで口から発した根拠なき数字を追う営業マンさながらに、インバウンドのプロモーションばかりに力を入れているように思えます。もちろん、訪日旅行の促進は、とりわけマクロ経済的に役立つため、重要な政策であることには間違いありません。

しかし、円高で二番底が論じられる現在まで、パブロフの犬のようにインバウンド一辺倒というのは、少し偏り過ぎではないでしょうか。

今こそ内需の拡大に向け、地域に小さな経済循環を生むコミュニティツーリズムについてもバランスよく推進すべきと思うのですが。

そのために、市町村に最低ひとつは「観光まちづくり会社」を創設し、現地の住民・事業者を巻き込んだ「第二のふるさと商品」づくりを進めていくことを提案したいと思います。

「旅は非日常」と言っていたのは経済が成長する時代。ちょうど今、アジア各国がその時代にありますが、アジアに照準を合わせた観光地づくりを進めれば進めるほど、観光コンテンツは時代を逆戻りし、日本人には物足りない内容になります。今まさしくその状態に陥っており、その結果、日本人は国内旅行をしなくなりました。

いくら休暇を分散しても、相変わらず大量消費型観光地を作り続ける限り、その効果は得られないでしょう。

日本人が地域に求めているのは「日常の延長」。豊かな生活を享受するための食育であり、田舎暮らしであり、晴耕雨読の温泉滞在であり、自分探しのひとり旅であり、自己実現の趣味旅行であり、仲間や夫婦や親子の絆を深めるための記念旅行ではないでしょうか。

今さら、大量消費型観光を追えば追うほどその矛盾が露呈するでしょう。生活者が主体となった観光まちづくり、すなわち、マクロ経済(財務省)主導の観光ではなく、内需拡大(社会の活性化)を目指した観光こそ、長い目で日本を救うと思います。


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