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2010.05.27

旅館チェーンにはチェーンで対抗

格安チェーンオペレーターが全国各地の有名温泉地の旅館を買収していることから、地元の危機感が広がっています。しかし、消費者から見れば、旅館に安心価格で泊まれるのですから、反対する地元に少し反感が生じているのも事実のようです。

もともとこの問題の根幹は、違う事業モデルの旅館ビジネスを並べて、価格だけで無理に比べようとすることにあります。平日に自由が利く年金受給者層を自社契約バスで連れてきて、とりたてて地産地消とは関係のない料理(でも喜ばれる)をノンサービスで提供し、稼働率を徹底して高めるモデルと、地元仕入と接客サービスを維持しつつ、一定単価を確保しながら、旅行会社と契約して販売するモデルでは、同じ「旅館」でも違うカテゴリーです。

消費者には見えないそうした違いを明らかにせずに、反対運動を起こしては、いつまでもテレビネタになってしまうばかりで少々心配です。

旅館は、外資にとって、思った以上に儲からないビジネスです。中国資本が、熱海や九州の旅館を買収していますが、事業ではなく「道楽」として考えているのではないでしょうか。もちろん、中には井戸の所有と温泉権確保を目的とする輩もいるでしょうが。

旅館とは、事業としての儲け以上に、地域で生きる事業者が地域に経済循環を生み、地域に還元することで名士としての地位を確立していくためのモデルといっても過言ではないと思います。

儲けるためには、バブル時に旅館がこぞってそうしたように、規模を拡大するしかありません。その結果が、チェーン化です。

格安チェーンオペレーターに対抗できる事業として業態の明確化を図るためには、既存旅館も同じモデルの旅館で集まり、ボランタリーチェーン化を図ることが急務かと思います。「12の宿(世界宿文化研究学会)」「一の宿倶楽部」「宿倶楽部」といった先進例がありますが、消費者にわかりやすい旅館チェーンをもっと作る必要があると思います。地域でまとまることも必要ですが、違う地域の同じ旅館業態同士で手をつなぎ、新たな時代へと船を漕ぎ出していこことも大切な業界戦略かと思います。


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