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2010.04.01

旅の目的で変わるべき旅館料理

旅には、大きく2種類の旅があります。

ひとつ目は「誰かを楽しませる旅」。

もうひとつは「自分自身が楽しむ旅」。

前者の場合、料理は華となり、足りないと思わせないだけの料理がもてなしのひとつとなるでしょう。古くから「名物にうまいものなし」と表現されるように、人によっては好まれない素材を避け、万人受けする旬の献立がよしとされます。

後者の場合、健康や懐のためにも多すぎる料理は敬遠され、少量で食べきれる量が評価されます。「山でマグロは食べたくない」と言われるように、地産地消が価値となります。

同じ人でも、目的が違えば、旅館料理に対する見方が変わります。

本来は、泊まる旅館がどちらに当たるのか、利用者自らが判断することが求められますが、その情報や経験が少なく、判断に迷うのが本音ではないでしょうか。

経営者は、どうしても苦情があると、現場のせいにしてしまいがちです。

料理でこう言われたとか、接客が悪いと言われたとか。

ただそれは、本当に現場だけの責任でしょうか。もしかして、お客様の旅の目的を十分聞くことができなかったとか、目的により料理を提案・誘導できなかった結果、現場サービスにしわ寄せが来てしまった。そんな現実もあろうことかと思います。

苦情に関しては、現場だけではなく、情報を発信し、受け付ける営業・予約担当者にも責任の半分はあると思います。あるいは、そうした解釈ができない経営者にあると思います。

「誰かを楽しませる」ための料理は、正直、食べることだけの集中したとき平らげることは苦痛に近いものがあります。相手のもてなしの心をいただくことで満足する料理だからです。

年々、「自分自身が楽しみたい」宿泊客が増えています。その時、同宿相手を越え、料理人と利用客の心が直接向き合います。そうしたお客様には「食べきれる料理を出したい」。そんな料理人の心があるならば、経営者や営業マンが踏みにじってはいけません。

料理献立は、料金単位ではなく、旅の目的で変えたいものです。


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