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2010.01.09

政府の「休暇分散化」に思うこと

国土交通省は、今年(2010年)、「大都市の一部自治体を実験先として、学校の休暇を分散(夏休みの一部を秋休みにシフト)し、企業の休暇を極力学校に合わせるよう働きかけ、『休暇分散・旅行促進』の実証実験を行う」 と、日本経済新聞に載っていました。

いろいろと細かな問題(果たして企業がそれに従うかなど)はあると思いますが、ぜひ、積極的にやって欲しいと願っています。 というのも、とにかく、旅館が高いのも、地元が観光に積極的にならないのも、全て根っこまで考えていくと、「週末偏重」が原因になっていることが多いからです。

こうした構造と休暇分散の必要性は、政府の休暇分散化ワーキングチームのオブザーバーであり、もともと休暇分散を主張し続けている星野リゾートの星野社長作成のシートをご一読いただければ、よく理解できると思います。

ただ、果たして休暇分散すれば(消費者側の構造さえ変えれば)、需要は平準化されるかというと、そうはならないと思うのですね。 もちろん、それも必要ですが、もう一方で、供給者側の魅力をどう高めるかという議論や実践がなされていないからです。 下手すりゃ、帰省の回数が分散化されるだけ(道路や運輸はそれでよいでしょうが)、になると思います。

例えば、平日用典型的商品である「0泊2食」について、12月にTBSテレビで取材していただき、実際にモニターのお客様が鬼怒川でご体験されたのですが、素晴らしい商品とおほめいただくとともに(取材後にプライベートでも行かれたとか)、「こういう時代にあった商品がごくわずかの旅館でしかやっていないということが問題」と指摘され、「旅館業界が、一泊二食の旅館に連泊するとでも思っているなら、大きな誤解であり、おごり極まりない」というお客様のメッセージを、制作担当の方から伝えていただきました。 つまり、平日用の魅力的商品や工夫がなさすぎ!!!なのです。

旅館の経営診断が私の仕事のひとつなのですが、分析の際によく測るのが、一般客と常連客のシェア。

常連客は「景気に左右されない」が、一般客は「景気に左右される」のが明らかなためです。 一般客比率が高いほど、景気の波を浴びやすい。 規模にかかわらず、その旅館が常連さんを作る努力をどうしているかが、旅館の経営を左右すると言っても過言ではないのです。 そして、常連さんほど、平日に来てくれるものなのです。

一般客の動き(黒点線)は、家計消費支出(黒実線)に並行しているが、常連客(赤点線)は、景気と関係なく推移している。

一般客の動き(黒点線)は、家計消費支出(黒実線)に並行しているが、常連客(赤点線)は、景気と関係なく推移している。

その点、平日の魅力を高めるため、いろいろな対策を打ち、すぐれた接客で常連さん予備軍を作っていくことに努めるか、あるいは、旅行会社主催の賀詞交歓会に行って頭を下げまくるか、旅館の未来がここで分かれているような気がします。

こうした、民間企業の動きに関しては、政府は口出しはできないので、民間側の努力に委ねられているのですが、民間企業で平日の需要喚起に前向きになっている先導企業があるでしょうか。 旅行会社も、予約サイト会社も、土曜日の客室確保のほうに忙しいようです。 ただ、そうしていると、いずれ観光産業そのものが倒れるというジレンマに陥るはずです。 民間企業(特に中小企業業界)の長期的視点はいったい誰が考えればよいのでしょう!

賀詞交歓会や新年会のシーズンです。 よいお酒はいいのですが、悪いお酒の飲み過ぎにはお互い気をつけましょう!


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