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2009.11.26

価格で価値を明らかにしよう

政府の事業仕分けが行われていますが、間もなく観光予算も俎上に上ります。さて、どうなりますでしょうか。もし私が仕分け人なら「キャンペーンとか、イノベーションとか、民間でやるべきことを国がやってどうするのか」と一喝していたかもしれません。しかし、民間でできるものなら、国は予算化などしません。

皆が今のままだとまずいと思いつつ、同じ習慣で安定してしまうと変えるのが難しく、そのまま失敗に向かうことをゲーム理論では「コーディネーションの失敗」と呼びますが、まさに民間の観光業界を指すのに相応しい表現かもしれません。質問したくても誰も挙手しないので、答がわからないまま終わる大学の授業と同じです。

旅館の宿泊料金がまさにそうです。

旅館の宿泊料金は、部屋代と食事代の組み合わせでできているのに、その内訳を明らかにしないため、消費者は、ただ単純に安い商品にばかり向かいます。価格に対する価値がわからないからです。その結果、破壊的イノベーションで市場を席巻する通年同一料金の格安旅館に足が向くのは当然です。

最大の皮肉を込めて言えば、現代の「観光イノベーション大賞は格安旅館」と言っても過言ではありません。

一方で、5年前に多種類の部屋と食事を組み合わせたマトリックス型料金表を作り、宿泊料金の明確化を図った鬼怒川温泉のあさやホテルが再生を終了したという嬉しいニュースもあり、料金の説明のしかたで差がつく時代になったと実感しています。

料金根拠が明らかでない場合、その価値がわからないので利用者はどんどん安い料金に向きます。単価を維持したければ料金根拠を明らかにする。当たり前のことがまだまだ民間ではできていません。

旅館のホームページも「プランの乱立」でほとほと見るのが疲れます。料理を変えただけで、調理場は大変だなあとも思います。しかし、肝心の「標準料金表」がない旅館がほとんど。基準がないので、安いか高いかわからない。そんな商品を消費者は買うでしょうか。旅館の皆さんには、そろそろ料金を「買い手の立場に立って考えて欲しい」と願っています。


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