2009.11.10
女性がプロデュース、伊勢「斎王の宮」開業
伊勢の広大な旅館「千の杜」(旧ウェルサンピア伊勢)の敷地内に、平安の王朝絵巻をモチーフにした別邸「斎王の宮」が、09年11月にオープンしました。
※斎王とは、天皇に代わり伊勢神宮に仕えた未婚の内親王(姫君)のこと。
6階建て全28室の全ての部屋に、天蓋ベッド、露天風呂(非温泉)、マッサージチェアを標準装備。パリ社交界で愛用される、デタイユ・ラ・メゾンのアメニティを全室に用意しました。館内は、全館全室内「禁煙」です(一部客室のバルコニーのみ喫煙可)。
この宿のコンセプトは「女性のために、女性がつくった、王朝浪漫の夢見宿」という通り、ディレクションは皆女性が担当。女性ならではの感性にのっとった旅館ができたというわけです。
この旅館を経営するのは、日本旅館初の女性専用フロアや選べる色浴衣を導入した「源氏香」など、東海地方に数々の旅館を営む「海栄グループ」。日本で元気な旅館グループとして「星野リゾート」などと並ぶ企業です。
やはり、元気な旅館は、コンセプトやターゲットを明確にし、早くから「女性」や「禁煙」を意識しています。
「歴女」などという言葉が生まれているということはすでに女性の嗜好が多様化し、細分化された需要が顕在化しているということ。先行優位のためには、そうした需要が潜在化しているときから構想を練らねばなりません。マス発想でいる限り、なかなか売れ筋旅館は作れない時代になってきたのでしょう。
「御所 社の森」も源氏物語を体験できる温泉旅館として、女性専用(09年2月から同伴に限り男性宿泊可)を通してきました。開業当初から女性優先をうたった宿としては、有馬温泉「花小宿」も元祖の一軒でしょうか。どうしても、どこかのタイミングで「専用」とはいかなくなるようですが、最初、とんがったコンセプトを訴えるのに「専用」とか「優先」はよい手段なのだと思います。
「禁煙」を推進している宿も、売れている旅館に多いように思えます。伊香保の「ホテル木暮」も地域で一番人気。さて、売れ筋旅館だから禁煙にするのか、禁煙だから売れるのか。果たしてどちらなのでしょうね。
ともあれ、「女性」「歴史」「禁煙」「専用・優先」。こうしたキーワードが注目されるのは間違いないことでしょう。