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2009.10.28

旅館は「空間」より「時間」提案で勝負したい

地上63階のオープンエアレストラン”sirocco”(バンコク)。その空間には圧倒される。

地上63階のオープンエアレストラン”sirocco”(バンコク)。その空間には圧倒される。

先週、バンコクに行っておりました。日タイ経済提携協定の一環として、「旅館の事業モデル」を、タイのコミュニティツーリズムに応用するための事業計画作成支援が目的です。

旅館とは、「コミュニティの地産地消、雇用創出、福利厚生」等を通じて、たとえ小さくとも、地域に一定の経済循環を生む事業であり、外資系ホテルの進出により利潤を海外に持っていかれないための有望な事業モデルである、というのがタイの評価です。日本では、旅館は少し疲弊しているので少々くすぐったい表現ですが、実に勇気づけられます。

さて、「タイ流の旅館」の事業モデルは、ホテルと違い、利用者に向けて、「空間」よりも「時間」のリッチさを提案するモデルと考えています。

広い部屋、素晴らしい眺望、充実した施設。そうしたものはホテルにかなわない。旅館では、極力、チェックイン・アウトを自由にし、「滞在」しやすい施設にしよう。日本のように「日帰り」でも利用しやすい施設にしよう。そんな「旅館のメリット」を追求し、地域に根ざした宿泊施設ネットワークを目指すことになっています。

しかし一方、日本の旅館はどうでしょうか。どんどん「空間」の広さや豪華さに傾斜し、利用者の「時間」の都合を無視してきていないでしょうか。

利用者は、「何時にチェックインしたいかはその日任せにしたい」、「チェックアウトはできるだけ朝寝坊して遅くしたい」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。数日間の休みがあれば、食事を自由にしてゆっくり滞在したいと思う人も多いのではないでしょうか。

そんな利用者の都合を無視し、徹底して旅館の都合で時間を決める。そして、利用者はホテルに逃げる。ホテルに逃げた利用者に「空間の豪華さ」で旅館を訴える。しかし負債は増える。どこかで歯車が狂ったように思えます。

出張中も、旅館の「0泊2食」に関する質問取材に追われました。関西で生まれた、宿泊しなくとも旅館を一日楽しめる「時間消費」の企画。忙しく、一日しか休みが取れない現代人にぴったりの商品だとお答えしています。

旅館とは、利用者本位の「時間」を提供してくれる宿泊施設であって欲しいと願っています。


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