着地型観光は地元自らの手で
今年の国内旅行業務取扱管理者試験が終了しました。受験された皆様はいかがでしたでしょうか。
有馬温泉でも旅館の若手経営者たちが夜な夜な集まり勉強を重ね、なんとか合格しそうです。よかったですね!
たとえ、不合格になったとしても、旅行業を学べたことで、旅館業を営む上での参考となったことでしょう。
皆さんが一番興味を持ったのが、意外にも、JRの運賃料金規則。
往復割引、乗継割引など、日常のコスト削減に使えるワザを多く発見したようです。
また、旅行業法では、運輸機関も宿泊もからめない(例えば徒歩だけで完結する)ミニツアーは旅行業の範疇ではないこと、運輸機関や宿泊だけを手配しても旅行業の対象になることを学びました。さらに、旅行業のキモは、「自らの計算により募集型企画旅行」を企画・販売できることで、代金を事業者になり代わり事前に収受できることでしたね。
運輸も宿泊もからまないミニツアーを旅行業者が企画したがらないことや、宿泊単品でも自らの計算で販売できること、あるいは、代金を利用者とやり取りしない予約だけの斡旋は旅行業免許がなくてもよいことなど、現実の背景も講座を通じて理解できたことでしょう。
この試験を受ける目的は、もちろん着地型観光を自ら企画・販売するため。
営業所に必ず一人いなくてはならない有資格者を自ら確保しようという算段です。
弁済業務保証金を積みANTA(全国旅行業協会)会員になれば、彼らの商品は「地旅」と称され、全国で売れることになることでしょう。
旅行業を学ぶ良い点は、商圏に対する視野が大きくなること。
それまで、狭い温泉地のミニツアーばかり考えていたところが、周辺観光地まで足を延ばし、温泉地を拠点としたエリア観光という着眼ができるようになると思います。
着地型観光は儲からないとよく聞きますが、それは「旅行業で扱う必要のないほどの小規模旅行」であるか、「企画性がない」、または「まだ数年しか取り組んでいない」のいずれかです。
着地型観光はクチコミで広がります。
数年後、「有馬に泊まって宝塚」という観光が日常になる日も来ることでしょう。