福島県を救え~SAVE FUKUSHIMA!
伊丹発の飛行機が、海上から仙台空港に近づくと、モノトーンの景色に声が出なくなりました。
海岸沿いに続く、長く幅広い赤茶色の帯は、陸に向かって押し倒され枯れて腐った松林・・・
空港のツツジの植栽も全て赤茶色。
信号は消え、デコボコの東部道路から見える人の姿のない沿岸部の景色には誰もが絶句してしまいます。
この景色を写真に撮る勇気もなく、撮ったところで、静止画ではおそらく伝わらないと思います。
想像を絶する数の死者の魂とともに国を復興するという意思を持つために、機会があれば、一度は目に焼き付けておいたほうがよいかもしれません。
大地震で商店街が壊滅してしまった古川を経て、鳴子温泉郷では、電気ガス水道が止まっても、こんこんと湧き続け、被災者に恵みを与えてくれた温泉に浸かってきました。これこそ「スーパーかけ流し湯」でしょう。東松島市や南三陸町の被災者や復興ボランティアの方々がベースキャンプにしていました。「GWは東北域内のお客様が入ってくれた」そうですが、それ以後はまた震災後の様子に逆戻り。
様子は山形県も同じで、「GWは直前予約で来た東北の若いカップルや家族で賑わった」蔵王温泉、肘折温泉、湯田川温泉も、今ではまた静かな温泉地に戻ってしまっています。 「どういう状況かわからない限り、簡単に出かけていくわけにはいかない」というのが、多くの方々の共通意見でしょう。 答えとしては、「津波の被害を受けた一部の沿岸部以外は、生活も経済も、ほぼ何ともありません!」です。 できれば、首都圏の皆さん!!! 東京で東北の食材や酒を呑むだけではなく、飲み仲間で、東北に「産地直行」し、5月、6月の東北の温泉地を賑わせていただければと思います。 ちょうど山菜や筍のシーズンです!
米沢では、大震災後、市内8つの温泉が初めて手を組み、共同して「八湯会」を発足。 様々な企画を発信しています。 どうぞ、美味しい山のサカナで地酒を一献、楽しむなんていかがでしょう!?
米沢八湯会のように、地域や業態で「提携(協働)」することが、震災で得た知見だと思います。
いざという時に来ていただける「おなじみさん」が、一軒だけでは足りません。 東北の旅館の方々は、今こそ呉越同舟でも「提携」して、共同顧客化を進めていくことを考えて欲しいと思います。
しかし、福島に入ったとたん、経済の様子が一変。
美しい春の景色は、今まで通りの福島の景色ですが、観光経済は絶望の淵に立たされていました。
岳の松渓園、土湯の観山荘、と老舗旅館が廃業したと報じられました。 これはまだ「氷山の一角」です。 「廃業準備を考えながら、当面の復興要員を受け入れ、地域貢献の日々を過している」旅館がほとんどではないでしょうか。 このままでは、間違いなく、月を追うごとに、旅館をはじめ中小企業の廃業が後を絶たないと思います。 復興要員の引き上げが予想される、今夏がヤマでしょう。
観光庁やJR、旅行会社等は、秋や来年度に向けて、キャンペーンや商品企画の準備をしているようですが、福島に限っては、それではとっても「遅すぎっ」です。 逆に言えば、来年以後のこと(団体観光客や外国人の誘致など)は、こうした皆様に任せておくのがよいでしょうが、目先のことは他の方々で福島の観光産業を救わねばならないと思います。
その主体は、金融機関だと思います。 東北の金融機関自体も相当のダメージを受け、公的資金の注入を含め、相当の対応を受けなくてはならないと思います。
金融機関が支援する形で、半国策の「福島旅館共同経営会社」を設立するのが一番良いと思います。 現在の経営者は、震災後のダメージが相当大きなうえ、後継者がまともに帰ってきてくれないと思います。 そんななかで、これほどのダメージのなか、地域の温泉宿を救うには、全県の旅館の株式を買取り、傘下に置く共同会社式しかありません。 規模(営業ターゲット)ごとにいくつかのチェーンがあってもよいでしょう。 将来、また福島で夢を見られるようになったら、株式を後継者が買い戻せば良いと思います。 その夢を作るのが、共同会社の使命でしょう。 他県の旅館経営者、旅行会社、いろんな方が、高い意思のレベルで集合し、これまでにない方法で福島の中小企業を救っていくことが、今求められていると思います。 遅くとも、この夏までにスキームを作りあげる必要があると思います。
おそらく、関係者の皆様は水面下ですでに動かれているように思いますし、そう期待しています。
大震災・津波・原発・風評の四重苦という、未曾有の不幸を背負う福島県に、本当の笑顔が戻りますように!
日本全国の知恵の結集を期待しています。