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2011.04.30

エシカル・ツーリズム

GWいかがお過ごしですか。

新聞で報道されていますが、このGWに東北の被災地へボランティアに出かける方々が多いようです。
ただ、ボランティアを仕分ける現地の事務処理がキャパシティを超え、被災地では渋滞が起きるなどして、宮城県ではボランティアの受付はいったん中止になったと報じられていました。(福島県や岩手県は受付中)

宮城県ボランティアセンターでは、かねてから「ボランティア・バスパック」を推奨し、「個人で来るのではなく、グループで乗り合い来て欲しい」と発信していました。 でも、その情報をつかむ前に出かけてしまったり、コーディネーターがいないために乗り合いできない、といった事例が多かったのだろうと推察できます。

NPO法人みえ防災市民会議さんでは「災害ボラパック」という、ボランティアバスをコーディネートするためのマニュアルを制作されています。 確かに、バスチャーターには相当のパワーが必要になることがわかります。

そこで、本来であれば、今こそ「旅行会社の出番!」と言いたいところなのですが。 ノウハウがないことから、できないのでしょうか。 26日に開催された全国国内活性化フォーラムでも、全旅の池田社長が「今こそ、東北の旅行会社が現地をコーディネートし、全国の旅行業がボランティアパックを売ろう」と仰っていましたが…..難しいのでしょうか。

いいえ。 旅行業(KNT)出身の壱岐さん率いる「NPO法人 リボーン・エコツーリズムネットワーク」さんの「天ぷらバスで行くボランティアチーム」は、2回ともあっという間に満席になったそうです。ちゃんと、ノウハウはあるのです。

さらに、ダイヤモンド・ビッグ社「東日本大震災ボランティア・パッケージ2泊5日」についての問い合わせや申し込みもひきをひらないようです。 ここでは、主催するダイヤモンド・ビッグ社も、ツアー手配をするトップツアーも「一切、収益は得ない」と書かれています。 結局は、ここなのでしょう。 きっと、多くの民間企業にはボランティアはできないのです。 しかし、バスを仕立てて来て下さいと言われる。 そのため、居ても立ってもいられない個人の方々が旅立ち、今回のようなボランンティア渋滞ができてしまったのでしょう。

私も旅行業出身者として、今何もできないことが情けなく、悲しいです。 旅行業の多くの仲間たちもそう思っているでしょう。 多くの旅行会社は、きっと、秋には、「震災から立ち直った紅葉の東北へ!」と、いつものようなツアーを売るまで、西日本や沖縄を売って食いつなぐんでしょう。

しかし、今こそ(特にこの夏まで)、日本中に「何か貢献したい!」という思いが渦巻いているときはありません。 

海外の第三世界へのボランティアへ旅立つ「スタディ・ツアー」のような、恒常的な(特に被災地に限らなくとも)「エシカル・ツーリズム」を日本に根付かせるグッド・タイミングはないと思います。

今からでも遅くはありません。 この夏に向け、これまでにない、スタディ・ツアーをたくさん世に出していきましょう。旅行業の皆さん!

2011.04.17

ニッポン観光復興の処方箋

4月も後半に入り、原発事故処理が長期化の様相を見せるなか、震災後の観光振興についても少しずつですが動きが出てきました。

観光庁は、長官が「日本を元気に」とコメントを発表しました。ホント、早く元気になって欲しいですね。 旅館業界も、直接的な被災にとどまらず、風評被害に対しての、金利減免や無担保融資、固定資産税の減免、雇用調整助成金の適用などを業界が陳情しているところで、一部認められ始めています。

ただ、できれば、この期に及んで「これまで通りの営業」を今後も続けようと考えるだけではなく、「新しい需要」を創造しなくては、今回の未曾有の大震災が何の勉強にもなりませんぞ、と関係者の皆さまに申し上げたいところです。 ドイツ気象局が「日本の放射能拡散予報」なんて出しているうちは、外国人は(日本だけではく極東地域全体で)ダメでしょう。

ちなみに、山形県米沢の「時の宿すみれ」さんは、この週末は満室でした。 放射能の風評で悩む福島から僅かの距離で、満室です。

すみれは「おふたり様専用の宿」として、地元米沢牛の名店、黄木さんが経営されていますが、そのコンセプトが、震災後の疲れた日本人にぴったりなのだと思います。 被災地の方々だって、「ふたり」でなら癒されに行きたいのが本音です。 「自粛」してしまうのは、「他者に批判されるおそれのある、他者との旅行や宴会」であり、ごく個人的な価値観の合う同士の旅行なら自粛はしないはずです。 そうした「生活者の本音」を追わずに、「団体旅行」ばかり追っているから、内需は拡大せず、外需にばかり依存せざるを得ないニッポン観光になってしまうのではないでしょうか。

いまこそ必要なのは、東北の宿や自治体の方々と復興の手順と具体策について現地で話し合うことです。
被災者の悲しみが癒えず、インフラも整わない東北で、観光に関して話し合うのは尚早であり、今行うべきは、被災地から遠い西日本の観光に力をいれることだ、とお考えになるのは、「素人」もしくは「目先の儲け第一」の発想ではないでしょうか。 観光のプロなら、先を読んで、段階的に手を打つはずです。 西日本の観光振興と並行して、東北の復興も (当然内容は全く違いますが) 今から取り組まねばいけません。

もちろん、温泉地も町単位の被災者の受入れを行っている現状で(なかなか被災者は心情的に故郷を離れないようですが)、東北の各自治体は忙しいことでしょう。 温泉旅館も、ライフラインもやっと復旧したかどうか、食材の調達も充分できずに困っていることでしょう。 でも、被災者が仮設住宅に戻り終わる7月頃、温泉旅館は、どうなるのでしょうか。 夏休み、これまで通りのお客様が来てくれるでしょうか。

夏休みに、きっと、東北を埋めるのは「エシカル・ツアー」で来ていただいた、多くの意思のあるニッポン人の皆さん(アーリーアダプター)です。 一般観光客(フォロワー)が戻り始めるのは、早くて秋です。 なぜなら、旅行会社が今からツアー設定して間に合うのが、早くて秋、だからです。

エシカル・ツアー。 最近の流行り言葉と思われがちですが、海外ではちゃんとあります、「Ethical Tourism」というコンセプト。 (Ethical=「倫理的な」「道徳的な」)  その準備をするのが、今、なのではないでしょうか。

今年の夏休みは、大震災で苦しんだ東北に、家族そろって手伝いに来てください。
ぜいたくな料理は出せません。 節電しなくてはいけないので、冷房もつけられません。 でも、被災者に喜ばれたかけ流し温泉がこんこんと湧いています。 田んぼをわたる山からの風に吹かれるのもいいものです。
田んぼで草取りを手伝ってもらえませんか。 道に花を植えてもらえませんか。 東北の米や野菜を食べていただけないでしょうか。
東北には、地元の方々に支えられた「湯治宿」や「農家民宿」がたくさんあります。 そうした宿に泊まっていただけないでしょうか。
外国人旅行客は一気に消えました。 旅行会社のツアーも消えました。 義援金や精神面での応援も有り難いですが、もっと嬉しいのは、実際に来て泊まっていただけること。
東北の宿は、それを一番待ち望んでいるはずです。 それは、客足が戻り始める秋ではなく、この「夏」です。

ニッポンの観光復興のためにプロ(イノベーター)としてやるべきこと。 その第一は、西日本への旅行を促進したり、訪日外国人の営業を再開することだけではなく(もちろんそれも必要です!)、あえて、一般観光客が自然回復する(要は旅行会社のツアーが出回る)であろうという秋以前に、「東北復興のための新しい内需を創造」することではないのでしょうか。

この夏、「エシカル・ツーリズム(Ehical Tourism)」が、東北で花開くはずです。 いま、準備中。
夏の東北でお待ちしています!


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