Home > 2月, 2011
2011.02.23

観光産業イノベーション推進セミナー 講演資料

2月22日、東京で「観光産業イノベーション推進セミナー」が開催され、100名もの方で満席でした。

観光庁の鈴木観光産業課長のイノベーションの必要性のお話しに始まり、松井洋治先生と私から基調講演、その後、2年間にわたり実施された観光イノベーション事例の優秀事例として、湯河原温泉(深夜チェックインの取り組み)、北海道ランドオペレーター協議会、四万温泉(レイトチェックアウトを実現するための客室清掃の改善)について発表がありました。いずれもとても参考になりました。いずれ、観光庁ホームページ等から資料をダウンロードできるようになるとお聞きしました。

それに先立ち、わたしが担当した「基調講演②」の資料を井門観光研究所のブログにアップしましたので、ご興味ある方はダウンロードのうえご高覧ください。

井門隆夫@越中五箇山

2011.02.16

まちづくりの第一歩はPR~地元が気づかない地域資源

この冬、一番思い出に残っている光景は、四国・祖谷渓で早朝に観た「雲海」。放射冷却でぎんぎんに冷えた晴天の朝、谷あいにもくもくと朝もやがわき、雲海となっていく様子は、自然の生業とはいえ、目頭が熱くなりました。

一年のうち一時期にしか発生せず、それも天候により出たり出なかったりの雲海をPR素材として集客に結びつけたのは北海道のトマムリゾート。祖谷溪の雲海はスケールこそ北海道には及ばないものの、長く続けることで12月の風物詩として定着していくことでしょう。

宿泊客を無料で雲海ツアーに連れ出してくれるのは、ホテル祖谷温泉はじめ「大歩危・祖谷いってみる会」の旅館の皆さん。10年前から大歩危・祖谷地区の村おこしを率先しています。

大歩危・祖谷地区は、有名なかずら橋や大歩危峡のほか、うだつの町並み、祖谷の伝統的集落など地味ながら味のある資源が点在しています。その課題は、「いかにその魅力を伝えるか」。多くの地域で共通の課題かもしれませんが、PRを坦ってきたのも「いってみる会」。マスメディアの取材誘導はもちろん、旅行会社のパンフレットへの掲載など積極的な行動で、大歩危や祖谷溪の魅力を地味に、地味に、伝えてきました。その結果は、ファンの多さにつながり、しっかりと地域を支えています。

全国の地域が、PRする際に絶対してはいけないのが観光地の名前の押し売り。地域資源を編集し「物語」にして伝えなくては消費者の心には届きません。その編集作業こそ、地元で担わなくてはいけないのです。12月の雲海ツアーも編集された物語の一環ですが、その資源に多くの地元の方が気づかない!。その点が、まちおこしの決定的問題点だと思います。

出るかどうかわからない雲海のために朝5時に起きるのは勇気がいります。しかし、「今だけ」の素晴らしさを語る宿の方々の声に後押しされ、この日も10人以上の宿泊客が雲海ツアーに参加しました。

待つこと20分。雲海が谷を上ってきます。声にならない感嘆の声があちこちで漏れ、誰もが黙りこくります。間もなく東の空から太陽が上り、雲海は徐々に消えていく。その瞬間、「また見に来よう」という声。その声こそ観光地を創っていくのだと思います。

2011.02.06

「観光産業イノベーション推進セミナー」開催

財団法人日本交通公社では、観光庁の事業受託の一環として、2月22日(火)に東京・八重洲で「観光産業イノベーション推進セミナー」を開催します。 私も参加しますので、お時間のある方(参加できるのは観光関係の事業者・金融機関・行政の方)はぜひご参加ください。 無料です!

旅館の予約の世界も、近年、いわゆる「旅行会社」から「インターネットエージェント」に変わりました。

リスティング広告に数千万円というお金をつぎ込んでも、毎日「送迎バス」を運行しても、旅行会社の送客手数料より少ない資金で、売上を伸ばす(平日売上を伸ばす)ことができるようになった現在、旅行会社の存在意義は完全に薄れ、口は悪いですが、旅行会社の会議には「負け犬」が集まるようになってしまいました。 もちろん旅行会社自体がイノベーションを図れば、この限りではなくなるのですが、現時点でそのような話は聞こえてきません。 旅行会社は、国内旅行に関しては時間稼ぎをしつつ足を引き、アウトバウンド(海外旅行)とインバウンド(訪日旅行)とグローバルビジネス(日本以外の国々の旅行市場)で生きていくでしょう。

インターネットの世界を見れば、「楽じゃ一休」さんの牙城となり、牙城を構築し得たとたん、いわゆる「プラットフォームの横暴」と称されるような事実上の手数料アップを実施しました。 旅館業界は、さかんに警告文を発信していますが、いざ、自社レベルの話となると「従順な犬」とならざるを得ない状況です。 プラットフォームの運営者自体も、イノベーションを続け、新たな市場を開拓していく限りにおいては、さらなる発展を望めるでしょうが、週末の客室の分捕り合いをしているようではお先が明るくはありません。 「平日」を売ってみる努力をしてみてはどうでしょう。 平日が売れない観光地や旅館はどんどん衰退します。 クライアントの生き血を吸い続けた結果、クライアントは死んだ、とならないようにお気をつけください。

かと言って、かくいう旅館業界がイノベーションを図っているかといえば、残念ながらそうではなく、旅行会社やインターネットエージェントとの「共依存」 (相互に依存しあい、何も制度・商慣習が変わらない状況) が続いています。 変えようという意思があっても 「お金(イニシャルコスト)がない」ので、協賛業者を募り、他人にお金を出させて、なんとか食いつなごうと考えるのが常套手段となっています。 しかし、イニシャルコストを他人に出させるということは、新たなエージェントを作っている(後から費用分担を要求される)ことだと、わかっているでしょうか。 旅行会社もインタネットエージェントも、もともとは、同じような「協賛業者」の立場だったと思います。 自分たちの声を代弁する新しいエージェントを作ることはできるでしょうが、作った後に、手数料が高い!とは言わないようにして欲しいものです。

結局、いま、一番可能性のあるイノベーションの手法。

それは「勝ち組旅館」だけでつながり、ボランタリーチェーンを創ること。 金融機関や行政の方々は、「地域(面)再生」とおっしゃっていますが、長きにわたり利害が対立してきた地域の事業者を呉越同舟にして再生しようなんて手法は、不可能ではなくとも極めて困難ということがわかってきています。 そうではなく、「業態(線)再生」です。 地域を超え、事業モデル・客層が同じ「業態」が相互提携をして、共同顧客管理、共同商品企画、共同人材育成、消耗品類の共同購入など、コラボレーションを組んでいくこと。 金融機関や行政のエリアまで超えるので、国(企業再生支援機構や観光庁)のヘルプがあれば、ぜひ欲しいところです。 余談ですが、日本最強の旅館チェーンは「かんぽの宿」です。 民間に売却しようとして、やめたのは、二束三文の不動産価値なんぞではありません。 そのチェーンとしての事業価値を算定せずに売却しようとしたことにあります。

では、どんなボランタリーチェーンの可能性があって、どんなイノベーションが必要なのか。 同窓会・女子会に強い専門チェーンがあってもいいですよね。 観光庁の皆様もお越しになる 「観光産業イノベーション推進セミナー」では、旅館業界の具体的なイノベーションの手法について提言をしたいと思います。 皆様、ふるってご参加ください!

Next »


当サイトへのリンクはフリーです。掲載の写真等の無断転用は禁止しております。引用・転用をご希望の方は、ご連絡をいただければ対応いたします。