2010.12.25
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第3位 「新鮮野菜のシャーベット」 平山旅館(長崎県・壱岐湯ノ本温泉)
まず、第3位は、壱岐の新鮮魚介や自家製野菜を提供してくれ、旅館の料理や食材の通販も行っている壱岐の「平山旅館」の新鮮野菜のシャーベット。
これは、ドリップ(解凍時の水)の出ない業務用冷凍庫「NICE-01」のなせる技。 新鮮な生野菜を冷凍し、解凍時にいただくとまるでシャーベットのような食感。 脂ののったアラ鍋などのお凌ぎに、まさにぴったり。 りんごのように見えるのは「だいこん」。 紫色のは「さつまいも」です。 甘さがそのまま保存され、驚きの食感と味でした。
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第2位 「マタギの熊汁」 熊の湯温泉旅館(青森県・熊の湯温泉)
第2位は、マタギのお父さんが経営する一軒宿「熊の湯温泉旅館」(夏季営業)の熊汁。
尚文のイノシシも捨てがたい味覚でしたが、主に自家用(プラス常連客用)の品にはうまいものが多いです。 熊肉はなんといっても、特徴はその脂。 熊脂はスキンケアとして使っても特級品の品質ですが、コラーゲンが溶けた味噌汁はとろとろアツアツ。 肉塊にかぶりつきつつ、汁をいただくと、体が自然とぽかぽかしてきます。 山の神に感謝しつつ、いただいた一品でした。
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第1位 「のどぐろ三昧」 三階旅館(島根県・有福温泉)
そして、第1位は、島根県の古湯、有福温泉の木造三階建て「三階旅館」の「のどぐろ三昧」!
晩夏に旬を迎える浜田港の「のどぐろ」を、年中仕入れて出してくれています。 ちょうど脂ののった頃にいただいて参りました(実は二度も…)。 定番の「煮付け」のほかに、1,500円を追加して「塩焼き」も。 コースには「のどぐろの肝」もついています。 脂がのっているので身崩れしやすく、なかなか流通に乗らないので、高級魚としても知られていますね。 地酒に合わせて、のどぐろ三昧。 もちろん、ゲタを鳴らして通う共同湯の「御前湯」も最高でした。
2010.12.19
厚生労働省では、「職業能力が適正に評価される社会基盤づくり」の一環として、社員の能力評価のいわば「ものさし」となる「職業能力評価基準」の整備について取り組み、労働者の能力評価やキャリア形成に役立てていますが、その「旅館業」版がついに完成しました。
つまり、旅館業で求められる社員としての能力を、「職種」ごとに「レベル1~4」にまとめたもの。
職種は、「接客サービス」 「調理」 「営業・マーケティング(レベル2~)」 「旅館管理」の4職種と、「共通」部門。
<レベル4>本部長・部長クラス
<レベル3>課長・マネージャー・ベテランスタッフ
<レベル2>主任・チームリーダー
<レベル1>担当者
上記のレベルごとに、必要な職務能力がチェックできるのですが、なかなか、レベルが高いですよ。
例えば...
営業・マーケティング部門のレベル2の能力ユニットのひとつが「商品・価格のプランニング」。
その基準をピックアップしてみると...
●商品の位置づけの評価を行い、商品ごとに適切な市場・顧客層を検討している。
●価格の設定に際しては、コストベースの価格設定と導入期のスキミング価格等をふまえて最適価格を設定している。
などなど。 うーむ、言葉もわからない、という方も少なくないのが現状かもしれません。
確かに、旅館業の商品企画は、旅行業のようなペネトレーション戦略ではなく、スキミング戦略で考えなくてはいけないところ。この評価基準にのっとれば、ほとんどの旅館の価格設定プロセスはアウト!ということになりますね。
この基準策定にあたっては、「佐勘」「明神館」といったしっかりとした旅館に何度も調査に行き、旅館三団体の協力を得た委員会で検討した結果ですので、社員レベルを上げていくにはもってこいだと思います。
現在、モデル評価シート(チェックシート)の検討が続けられています。 わたしも委員として参加させていただいたこともあり、職能基準のセミナーや検定などの普及に努めていきたいと思います。
その目的は、基準の普及により、「能力のある人」が適正に評価され、いざ失業しても、レベルが客観評価されていれば、ハローワークに登録され、再就職しやすいような環境を作っていくことにあります。 旅館業は、人材に支えられたサービス業。 こうした仕組みが広がるといいですね。
旅館職業能力評価基準は、中央職業能力開発協会のホームページからWordでダウンロードできます。
2010.12.19
11月の狩猟解禁で生イノシシが入ったからと、かねてから誘われていた水上の「尚文」に行ってきました。
ぼたん鍋で使うような薄切りではなく、特注で、がっつりと分厚いイノシシのロースと肩ロースを炙って山盛りに!
いやはや、うまい、うまい。 まったく臭みのない、歯ごたえのいい”極上の豚”です。 肉汁にまみれた分厚い脂身こそ、うまい肉のだいご味です。
上記写真は、通常コースに出る肉に加え、特注の肉を加えた、肉(viande)三昧の図。 手前から「赤城和牛・上州麦豚・赤城鶏」の三点盛り(通常コース)、「鹿のルイべ」(特注)、「生イノシシロース」の炙り。 イノシシはお皿がほぼ空いてしまいました。
このほかにも、仕上げに、イノシシのハム、イノシシのもも肉とレバーのペーストを、生搾りの日本酒「誉國光」三兄弟に合わせて終了。
年末の仕事を少し早く仕上げて、「温泉忘年会」というのを、イマドキの食通の皆さまに提案したいものです。 この日も東京16:52発新幹線で、宿に18:30着。 ちょっと頑張れば、今の時代では忘れてしまったこんな楽しみ方ができます。
最近、旅館は「格安で買う」ような風潮があります。 付加価値が薄れ、コモディティ化してしまった結果でしょうが、モノと違って安く買えばいいとは限りません。 尚文でも、ここまで(田舎に)の、それもこの宿に来て、川魚が食べられません、獣肉は食べられません、というお客様いると悩まれていましたが、付加価値的な情報を得ず、ただ「価格とネットクチコミ」で選んでしまったのでしょうね。
私など足元にも及ばない「宿通」の方々の声さえあれば、宿の個性が発信され、付加価値が強化されて、価格もただ暴落していく(モノと違い、サービス価格が暴落すると、サービス品質は当然劣化する)のを避けられると思うのですが...All Aboutで一人やっていたそんなサービスも作ろうと思えば作れるかもしれません。
繁閑で価格が安くなるのは「客室」。 「料理」は価値(原価)で変わります。 安いオフシーズンに、安くなった部屋に泊まり、少し奮発してうまい料理を食べに行く。 そんなことすらできない、現在の1泊2食型旅館料金や予約の在り方では、観光振興以前の話でしょうね。
世の中が変わらない限り、わたしだけの食道楽の旅を続けられるからいいか(笑) ごちそうさま!