2010.11.24
2011年に観光分野で何がヒットすると思いますか。ずばり、当ててみたいと思います。
そのキーワードは…「古民家」、「民宿」、「パワースポット」。
時代のトレンドを作ってきた団塊世代(60歳代)と団塊ジュニア(30歳代)が孫や子供と田舎に回帰したり、日本で最も多くなったシングル世帯が、パワーをもらいにいきたいという願望が強くなるだろう、という人口構造が生み出す社会的背景がその根拠にあります。事実、田舎体験やパワスポに集客効果を感じている地域は少なくないと思います。
その裏づけとして、ネット検索エンジン「グーグル」の一機能である「グーグルトレンド」で、そうしたキーワードを検索してみてください。検索数の推移が年々上昇傾向であることがわかると思います。すなわち、情報を探そうと検索する人が増えているのです。
一方、「旅館」というキーワードを見てみましょう。旅館業界の方が、危機感を抱くことは間違いありません。では、「旅館、民宿」と入力してみてください。今年の夏、「民宿」が「旅館」についに追いついた(?)現象は、キーワード検索上のことだけだとよいのですが。そうではなく、旅館の今まで通りのサービスが、時代についていけていないのだとしたら大変。 その危機感をアクションにつなげて欲しいと願っています。
ショッキングな検索は、まだまだあります。怒られるかもしれませんが、禁断の検索は「JTB、じゃらん」。
あるいは、「じゃらん、楽天トラベル」と検索すると、その勢いを感じ取ることができます。
ネット宿泊予約サイトの事実上の手数料アップに反対運動を起こすことは、旅館の気持ちとしては十分に理解できるものです。しかし、反対運動を起こしている陰で、しっかりと時代を感じ取り、自らの改革を起こすことが必要です。
この記事を読んで、「グーグルトレンドって何だ?」と言葉すらわからないようであれば、幸せな隠居生活を考えていたほうがよいのかもしれません。
きっと、青年部の皆さんあたりなら、すぐにパソコンを開き、次なるアクションに向けた議論を始めていることでしょう。精神論はもう不要。具体的な改革が重要なのです!
2010.11.21
旅館の「まかない」ほど、美味しいそうなものはありません。 写真は、水上温泉から山に入ったところにある「尚文」さんの「酢猪」。
世の中がボジョレー・ヌーボーに浮かれていた先週、本州各地で狩猟が解禁となり、イノシシやクマの新鮮な肉が出回り始めました。 日本酒のヌーボー「ひやおろし」で一杯やりつつ、やわらかいジビエをいただくなんて、晩秋の日本ならではです。
・・・が、あまりにも、情報がなさすぎ、美味しい肉は、地元の方の胃袋におさまっていく、という次第。 あの「酸っぱいだけ」の安ワインを飲む日本人に、本当においしい日本の幸を届けてあげたいと願うこの頃です。
先週は、加賀・山代温泉で、手取川で合わせつつ、6日に解禁になったズワイもいただいてまいりました。 私は、メスの香箱蟹(セコガニ)のほうが好きなのですが、「(甲羅にミソや内子や足をきれいに盛り込む)香箱を作るのは手間がかかり、たくさん作ると手を甲羅で痛めてしまうので料理人がいやがる」そう。 たくさんは作れないのですね。
それなら、「たくさん」作らねばよいのですが、この「マス・マーケティング」の呪縛と仕組みが、人口が減り始めた日本の観光をすべて台なしにしている元凶になっています。 今はまだ、「高齢者が増えている時代」なので、元気なお年寄りで賑わう日もあるのですが、あと10年もすれば、高齢者を含め、ほぼすべての世代(その頃の40代のみ除く)で、人口は減少していきます。 今でさえ、旅館が減っているというのに、その頃には「絶滅危惧種」になっていないことを祈るばかりです。
そのころまでには、「少量」「旬」「地元」の価値が、情報として市場に伝わる仕組みを作っていきたいですね。
そうそう、ちょうど今、「とらふぐ」漁も佳境に入ってきました!(底びきでなく、延縄で釣った天然とらふぐの味を是非一度!)
2010.11.07
「旅館を超えた!?民宿ランキング★ミンシュクラン」(TV東京 日曜ビッグバラエティ11月7日19:54~放送)でご紹介した民宿です。
中根 裕さん(観光地プランナー)が訪問・紹介した民宿
★ 民宿桜荘(宮城県・奥松島)
★ 大吉(長野県・妻籠)
★ 赤かぶ(岐阜県・上呂)
★ 松葉川屋(高知県・四万十町)
山田祐子さん(宿泊ジャーナリスト)が訪問・紹介した民宿
★ 港屋(神奈川県・三崎市城ヶ島)
★ 深三(石川県・輪島)
★ 大覚寺道(京都市・嵯峨野)
★ 山の里(熊本県・阿蘇産山村)
井門隆夫(旅館コンサルタント)が訪問・紹介した民宿
★ おりざの森(宮城県・加美町)
★ 福冨士(栃木県・日光市栗山村野門)
★ 静山荘(東京都・御嶽山)
★ 船長(静岡県・伊豆今井浜)
★ たんぽぽ堂(長野県・青木村)
昨今、「民宿」が進化しつつあり、ブルータス「日本の宿」(09/12/09号90ページ)で、「スーパー民宿」というコンセプトをもって民宿に脚光を当てたような「民宿復権の流れ」が、番組企画にもつながってきているような気がします。
民宿のよさは、宿泊専業の旅館と違って、ほとんどの宿がなにがしか「本業」(農業や釣り船、年金受給含む)を持っており、あくまで「ダブル事業」として「地域のアンテナショップ」たる宿を(ボランティアに近い収益で)「個人(家族)」で営んでいるという点にあるのではないでしょうか。 そのため、料理をするのも家族(ご主人もしくは奥さん)であり、調理人を雇って提供する旅館(調理人件費がかかる)とは一線を画しています。 宿泊料金からして、地産地消の手料理をいただくことが目的であれば、超おトクであり、民宿にかなう旅館はなかなかありません(旅館には旅館のよさがありますが)。 同じ旅館業法上「旅館」とくくられる民宿と旅館ですが、民宿には業界団体もなく、PRする術もありません。 そのため、よい宿も埋もれてしまいがちなのが残念でもあります。 誰かを招待しようとか、他者を喜ばせるために行くのなら、旅館。 自分自身で楽しみたいのなら、民宿。 と使い分けるのもよいかもしれませんね。
今回は、「覆面調査」「ランキング」という手法で、民宿の方には少々ご迷惑をおかけしましたが、こういう手法でPRしないと、テレビでは注目されないので、しかたありません。 気持ちは、みんな★★★。 ただ、放送演出上のバランスもあるし…。 それでも、快く放送を受諾していただいた宿の皆さまには、心から御礼を申し上げますとともに、より多くの方々が、好みの民宿をみつけて、訪れていただけることを期待しております!
今回のロケで使った評価シート。感覚ではなく、極力、客観的にその良さを評価するように設計しました。★の数は本当に僅差です。どの宿も個性的でした。とはいえ、事前に選定した19軒のうち、訪問の結果6軒は★付けられず(放送なし)。13軒が紹介されました。