星野リゾートレポート
星野リゾートが運営を受託する(ゴールドマン・サックス証券所有)の「奥入瀬渓流ホテル」と「古牧温泉青森屋」に行ってきました。
旅館を日々見ている者としては、やはり、ある意味理想に近い、現代流の運営をしているのが新鮮でした。
上の写真は、奥入瀬渓流ホテルのバイキング会場の「森のサラダ」。 調理人の方々が(洋食シェフも和食調理師さんも)交替でカウンターに入り、白皿に絵を描くように(アーティスティックに)野菜を盛りつけていくのですが、バイキング会場の中でも一番人気でした。
星野リゾートさんは、嘉助工房というセントラルキッチンを所有され、一部の旅館料理の集中調理をされていますが、おそらく、バイキング会場では、「セントラルキッチン発の惣菜」プラス、(森のサラダのような)「客前料理」の大きく2つに分けて提供しているように思えました。 要は「自社調理の惣菜(客前料理ではない自社調理)」がほとんどない、ということです。 満足度と原価の効率性を考えれば、ベストな方法ではないでしょうか。 セントラルキッチンの料理もおいしい料理でした。 ただし、地方食材の地元消費という観点からは、地元食材は客前料理に集中し、地方食材のアンテナショップという価値は弱まってしまうのはやむを得ないことでしょうか(とはいえ、通常の会席料理も地元食材使用率は減っていると思うので、何とも難しいところですが…)。 結局は、多くの利用者は「地元食材か否かより、安い料理を望んでいる」???ということになるのでしょう。
しかし、やはり、業界として(いや、日本経済として)考えなおさねばならないと思ったのが、「人(社員)」のこと。
旅館業界では、「星野リゾートは社員がすぐ辞める」という噂話が有名です。 おそらく、これだけ若い社員が多いなら、それはそれで当り前だと思います。 終身雇用・年功序列の企業ならともかく、ユニクロにしろ、ディズニーリゾートにしろ、あるいはホテル業界がそうですが、「人材は辞めていく」ものです。 むしろ、時代錯誤甚だしい「定期昇給」(今の時代にあるわけがない)を求めて、社畜のように飼い殺されている旅行会社や旅館の社員なんかを見ていると、それよりは、ずっと自然のような気がしました。
観光業界は、人材の流動性が低いがために、給与が低く抑えられ、良い人材が集まりません。 社内で廻されるがために、プロとして育たず、社外に出ても通用しません。 もっと業界として、「(同じ手仕事を求めて)転職するごとに、報酬も上がっていく」というような仕組みを作らねば、プロは生まれず、良い人材も集まらないような気がします。 もちろん、経済成長期はそうなる必要はなかったと思います。
星野リゾートで、若い社員がいきいきと働くのを見て、「これじゃあ負けるわな」、と思った次第。 もっと旅館業界内で人材を流動化させる仕組みを作っていくことを考え始めたいと思います。
お時間あるかたは、ひどくヘタクソな文章にもお付き合いを。