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2010.06.23

大量一律旅館料理からの脱却を目指せ

日本には美味しい食材が本当に多いですよね。美味しいものを地方で食べた時、本当に日本に生まれて良かったと思うことが少なくありません!

最近、秋田で食べた「棒あなご」。岩手で食べた「採れたてホヤ」。福島で食べた「モクズがに」。奈良で食べた「名水とうふ」。佐賀で食べた「わたりがに」。沖縄で食べた「山羊炒め」。

どれを取っても「産地直行」してこそ味わえる(お取り寄せなどできない)鮮度が命の食材ばかり。

こうした「鮮度が高く、現地でしか食べられず」「収穫量が少なく、大量販売ができず」「旬が決まっており、いつでも食べられるわけではない」食材を地域の商品としてもっと活用できないものでしょうか。

どうしてもこれまでは「大量一律通年販売」を前提としてきたがために、あるいは、旅程保証という「消費者”過保護”」に従属し過ぎてきたがために、地域のこうした素材を無視せざるを得なかったと思います。

しかし、消費者ニーズは、こうした稀少性に向いていると感じるのは私だけでしょうか。「いまだけ、ここだけ、あなただけ」が現代の消費キーワード。我慢して食べる旅館料理より、街に出て地域の素材を食べたい。そう思う消費者のあきらめが旅館宿泊客をどんどん減らしていっています。

旅館では、こうした食材を扱えないものなのでしょうか。これが根本の問題点です。

できないと仰る方が多いでしょう。でもそう言う前に、できる方法を考えてみることを強くオススメします。

季節が限られていること。早めの予約が必要なこと。安くはない上に時価で価格が変動すること。大量に用意できないこと。天候によっては仕入れすらできないこと。

これらは、すべて「説明」すれば済むことではないでしょうか。それすら面倒というのであれば仕方ありません。

価値を説明し尽くしていないがためにどうしても安く売ることばかりに目がいってしまいます。

安売りする前に、まず地域が誇る稀少価値の高い「美味しい食材」を紹介してみませんか。消費者を「過保護扱い」するのではなく、消費者に「教えてあげる」ことで、美味しい思いをより多くの方に分けてあげて欲しいと願っています。

那覇「さかえ」の「山羊炒め」。ジンギスカンをワイルドにした感じでクセになる!

那覇「さかえ」の「山羊炒め」。ジンギスカンをワイルドにした感じでクセになる!

2010.06.15

日本の観光に何が足りないのか~沖縄からの考察

okinawa

「沖縄」に行ってきました。

梅雨の最中とはいえ、一日中雨が降るというのは稀で、コバルトブルーの海と真っ青な空を満喫してきました。

今回の旅で、まず向かったのは、沖縄の中高生が演じる、現代版組踊 「肝高の阿麻和利」の公演(うるま市)。 おそらく、多くの方がご存じないと思いますが、ユネスコの世界未来遺産にも登録される、沖縄の中高生が演じる舞台で、中世の勝連城(世界遺産)を舞台にした沖縄の伝統的な組踊に、歌劇とダンスを取り入れたもの。 もともと、不登校や非行に走ろうとする「地域のこどもたちの居場所作り」をしようと、沖縄の民宿に生まれた演出家、平田大一さんが十年以上の歳月をかけ、地域の人たちと育ててきた取組みです。 今では、日本を超えて、世界に認められる大迫力かつ本格的なステージになりました。 「幻のチケット」と言われ、常に満席になる公演を観賞できたのはたいへんラッキーかつ噂通り素晴らしいものでした! (下の写真は、公演が終わって、駆け出した庭でアドリブを演じる子どもたち)

沖縄の伝統芸能には、本当に敬服します。

amawari

そして、次に向かったのが、「宮城島」。 阿麻和利公演のうるま市(勝連)から、海の中を走る「海中道路」を車で20分。 素朴な沖縄の村並みが残る農業・漁業の島です。

宮城島にお会いしに行ったのが、北海道出身・沖縄移住歴10年の 「宮崎綾子」さん。 地元の古民家を借りて修復し(ソーラーパネル付き!)、「自給自足」に近い生活 (月の生活費は2万円弱だとか) をしている30歳のサーファー。 ゆる~い、スローライフの実践者とはいえ、地域にとっては、一人住まいの「おばー」の家をまわってくれる事実上のホームヘルパーでもあり、不耕起農業に取り組む農家でもあり、地元NPOを通じて私のような外部の人間とコンタクトして、「新たな観光」を模索しようとするイノベーターでもあるのです。

miyagijima

自給自足のライフスタイルを少しだけ体験させていただき、村をまわり、食事もいただいてきました。 「地元産のモズクお好み焼き」+「パパイヤのサラダ」+「玄米と雑穀のごはん」+「沖縄の様々なハーブを入れたお茶」+「さとうきび絞りたてジュース」のランチ。 詳細は書ききれませんが、こうした「スローライフ」を実践したい、と夢見る人たちには、たいへん共感できるものだと思いました。 決して左翼的だったり退廃的だったりしない(全共闘世代あたりにはそう思う人もいるのでは?)、自然かつ明るく前向きな宮崎さんの生き方に「共感」し、自分の夢を一歩「具現化」したいと思っている人たちには、とっても素敵な旅のコンテンツになることでしょう。

現代の日本の観光では様々な問題が語られています。 その最大の課題は「シーズン・曜日の跛行性」。 つまり、オンシーズン・週末ばかりが混んで、オフ・平日はがらがらのため、観光費用は高止まり、雇用は不安定化し、サービスクオリティは劣化していく悪循環にはまっていることです。

その解決策として、「休暇の分散化」が目玉政策として発表されたり、「有給休暇の完全促進」が話題になったりしています。 国の政策としては十分理解できるものです。 それとともに、「泊食分離」による 「連泊しやすく、外国人も泊まりやすい旅館づくり」 (の第一歩としてのモデル宿泊約款改正) に取り組んだというニュースも、さきのブログで紹介しました。

しかし、これだけでは、ほとんど何も変わらないでしょう。 何が足りないかといえば・・・

そこに旅したいと思えるような 「魅力的なコンテンツ」 の情報や編集された商品がなさ過ぎ!なのです。

観光・旅行業界が考えるコンテンツとは、呆れるほど、いまだに「大量販売」できる素材。 これで、どう変わるのでしょうね。 国民だってバカではありません。 たとえ、休暇が増えたとしても、魅力ない古臭い国内旅行商品にお金をかけるくらいなら、近場で過ごしたり、帰省したり、海外旅行に行ったりするんじゃないでしょうか。

それを変える術こそが、業界で「着地型観光」と言われているスキーム。(多くの方が大量販売思考のままなので、正しく理解されていませんが)

その商材の大きな目的が、「共感」。 こういう人に会いたい。 共感したい。 そう思える商材を多数用意することが、着地型観光です。 そこには一度に大量客を受け入れできません。 どうしても、行きたい場合は、休んでまで行って欲しい・・・。 そういう商材を開発することなく、無理やり国民を「休ませよう」と考えるのは、「暴力」以外の何ものでもないのではないでしょうか!!!

わたしも、ここで発信しようとしたり、たとえお金をもらえなくても地域に行く目的は、そうしたコンテンツを応援したいから。 今回は、農水省の事業で交通費はいただけましたが、こうした取組みはむしろ観光庁がどんどんやって欲しいと願っています。

日本の観光に何が足りないのか。 それは、そうした今後の旅のコンテンツを発掘したり、編集したり、発信したりする、新しい旅のプロデューサー(人)です。 それが、観光を取り巻く既存の既得権者にできるかといえば、できません! なぜかというと、そうした発想をしたことがないからです。 そうした業界構造が、日本の観光が「閑古」になっていこうとする根源にあるのではないでしょうか。

日本には、感動・共感できる「素晴らしいコンテンツ」が山のように眠っています。 それをどう「観光」につなげるかが中期的な日本の観光の大きな課題になってくるでしょう。 まずは、着地型商品プロデューサー・エディターを育てることから。 その結果、10年発てば、日本の観光は変わっていくことでしょう。

2010.06.15

モデル宿泊約款が「脱・一泊二食型」に変更

実に 「地味~な」 ニュースがありました。

国内での旅館の整備に対する法律、「国際観光ホテル整備法」のうち、旅館の宿泊約款の基となる 「モデル宿泊約款」 が変更となったのです。

どのように変更になったかというと、ニュースにあるように、旅館の宿泊料のモデルはこれまで 「基本宿泊料= ”一泊二食”」であったものが、 「基本宿泊料= ”室料<及び室料+朝食等の飲食料>”」 と 、「一泊二食」 以外の 「素泊まり」や「一泊朝食付」宿泊もあるよと提示した点です。

一般の方からすると 「それがどうした?」 という感想だと思いますが(笑)、多くの旅館がモデル宿泊約款を自社の約款として表示していることを考慮すると、「(とりわけ外国人や連泊客を取ろうとするなら)一泊二食以外も法律的にOKなのよ」 ということを業界に法制面で示し、一石を投じたことになります。 これって、一泊二食しか発信していない、旅館業界に向けては、ニュースなんですよね。

ただ、もっとも 「朝食等の飲食料」 の内のりとして「夕食」も含めてしまえば、一泊二食自体は何も変えなくてよいわけで、これで旅館業界が大きく変わるとは思えないのですが、こうした「法律の別表の見直し」という小さな取組みで終わることなく、なお一層の、国の業界に対するリーダーシップを期待したいところです。

これから間違いなく、「素泊まり宿」がどんどん出てきて繁盛することでしょう。 それにすら反対運動が起きたとしたら、旅館業界はもう終わりす(苦笑)。 それだけ、「一泊二食オンリー」という商慣習が陳腐化しているということと早く (もうかなり遅いですが) 認識すべきです。 (一泊二食がダメというわけではなく、猫も杓子も、どの旅館も 「はっきり言って美味しくない、量ばかりが過剰な夕食」 でしか儲けられない業態ではダメ!ということを発信し続けていきたいと思います。 美味しく、日本や地域の食文化を誇りに思えるような夕食なら、一泊二食、大・大・大歓迎です。)

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