通販は一日にして成らず
本コラムを掲載している「トラベルニュース」7月10日号で「旅館のお取り寄せ」が特集されていました。
ビーフシチューを核に通販サイトを運営する、かみのやま温泉・日本の宿古窯や、人気化粧水となった「三朝みすと」を通販で売る、三朝温泉・三朝館の事例を紹介していました。
旅館の通販とは、多くの宿が興味を示すものの、「なかなか売れない」とあきらめてしまいがちなビジネスです。
しかし一方で、岩手県岩泉町・龍泉洞愛山の「まつたけ」販売サイトのように、楽天のまつたけ販売の中でトップを売るサイトも存在します。
通販とは、一日にして成らず。時間をかけて育て、その時間が参入障壁となるビジネスなのです。
成功例のひとつは、自家製の「島茶漬け」を筆頭に、年間7千万円の収入を上げる通販サイト「壱岐もの屋」を運営する長崎県壱岐・平山旅館でしょう。
年間20万円と「さっぱり」だった2001年の運営開始から8年。デジタル女将こと、若女将の平山佐知子さんの汗と涙の結晶は、旅館という季節の繁閑があるためにキャッシュがショートしやすい装置産業の資金繰りを陰で支える存在となったに違いありません。
詳しくは、佐知子さんの著書、「デジタル女将修業中」(講談社)をご一読いただくことをおすすめいたします。「旅館の売却」「嫁姑バトル」を乗り越え、「島で一旗あげる」ために4人の小さなお子さんを抱えて頑張る著者の姿勢と行動は、「なかなか売れない」と嘆き、逆に「自分の旅館が売られる危機だ」と頭を抱える諸氏に勇気を与えてくれてくれること、間違いありません。
そして、東京で旅館経営者修行を続ける、佐知子さんのご主人であり、若旦那である平山泰朗さんが、なんと今夏の衆議院議員選挙に立候補されることになりました。思いがけないところから旅館業界悲願の政界への進出が図られるかもしれません。
大きな目標を、小さく育て、機を見て挑戦する。若い経営者ご夫婦の大きな挑戦を応援したいと思います。
世の中、まだまだ、あきらめてはいけません!