2012.01.26
スタイルBをお読みいただいた皆様へ。
このたび、本ブログをAll Aboutプロファイル「コラム」へと移行することにいたしました。
本ブログをご高配賜りましてありがとうございました。引き続き、井門隆夫のコラムをよろしくお願いいたします。
新コラムは、All Aboutプロファイル「コラム」ページからお読みいただけるほか(RSSもご登録可能)、井門観光研究所のホームページにも新着情報がアップされます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
井門 隆夫 拝
2012.01.01
新年おめでとうございます。
2011年は、日本に生きる人々にとっては忘れえぬ年になりました。
今年はどんな年になるでしょう。
東京タワーが開業した1958年には、「岩戸景気」が始まりました。
太陽の塔が立った1970年には、「旅ブーム」が本格化しました。
スカイツリーが完成する2012年も、日本の観光は復興に向けて大きく動き出すことでしょう!
しかし、「塔」は西洋のタロットカード占いでは「破滅」「終焉」を意味するカード・・・
4年に一度、五輪、米国大統領選が重なる年は、必ずといって政治経済の大変化があります。
思えば4年前には、リーマン・ショックが世界を震撼させましたが、今度は、EUの番でしょうか。
円高で瞬間的に海外旅行は潤いますが、中期的には日本経済に強烈なボディブローとなります。
地球も活動期に入っているようですし、外的要因には十分留意していたいものです。
さて、ここのところブログの更新をサボっておりまして、申し訳ありませんでした。
Facebookの登場などもあり、少々遅筆となっておりました。
昨年は、井門観光研究所を設立し、着地型旅行本格化の時代に向け、各地の取材を繰り返すとともに、関西国際大学に着任し、慣れない大学での仕事に専念しておりました。
そして、今年は、各地で「着地型旅行プロジェクト」に携わっていきたいと思っております。
着地型旅行とは、「現地発着」型の、いわゆる「オプショナルツアー」のこと。
従来から、日本の旅をする際にネックとなってきたのは、高い「交通運賃」。
これまで、割引は、長きにわたり「団体」にすることで成り立ち、それが旅行業を支えていました。
いわゆる「スケールメリット」ですね。
ところが、インターネット時代になり、「個人」でも、「早割」や「平日乗車」など「条件」により割引になるようになりました。
高速道路料金も休日割引が常態化するようになり、団体・ツアーでなくても、安く旅行ができるようになりました。
宿も、格安旅館の普及や、既存旅館でも様々な効率化が行われるようになり、値下がり傾向にあります。
すなわち、個人でも「自由」かつ「安価」に旅ができるようになる素地が整ってきたのです!
交通機関を、個人でも安く買えるようになりましたからね。あとは、「ランド」(旅先)です。
海外のように、現地発着のオプショナルツアーが豊富にあればいいのに・・・
そうした背景から、観光庁では、平成19年に旅行業法を緩和し、小規模旅行業者でも、現地発着型ツアーの企画ができるようにしました。
業界で「着地型旅行」と呼ばれる現地発着型ツアーが、企画・実施されるようになる時代がやってきたのです。
しかし、なかなか地域や業界で、着地型旅行をやろうとしても、なかなか普及しません。
それは、なぜなのか?・・・
その構造はといえば・・・、なーるほど。
その事情さえつかめれば、これからはサクサクと進み始めるでしょう。
少しずつ、その理由を私も発信していきたいと思います。
さて、ここでお知らせです。
3年にわたり、ご高覧いただきました「スタイルB」(本ブログ)ですが、1月をもって更新を休止します。
その代わり、
新しい「コラム」サイトを作り、着地型旅行のトレンドや、旅館業界の裏事情を、従前にも増して定期的に発信して参ります。
新しいサイトはただ今準備中。サイトアップは1月19日の予定です。
完成は、このブログでもお知らせいたします。
2012年。引き続き、新しいコラムもどうぞよろしくお願いいたします!!!
2011.07.17
大震災後、宿泊消費の形態ががらっと変わってしまったと感じるのは私だけでしょうか。
第一に、一般客の「脱・東北」(東北はエシカル・モード)。
地震・津波だけだったら、夏に持ち直したかもしれません。
しかし、原発の余波 (降り注いだ放射能による食糧汚染が最悪の事態を招いている) により、東北は「域内需要」で何とか持つ地域に変わってしまいました。 夏に動くはずの首都圏ファミリー層が、「1000円高速」の廃止 (私だったら東北道だけは残しますけどね) も相まって、白河の関を越えません。 それどころか、東日本太平洋岸の海からも、2~3割程度客が引いてしまった感があります。
しかし、大震災が生んだ消費があります。 それが「エシカル・ツーリズム」。 ボランティア・ツアーで東北を訪れる方々は今夏も後を絶ちません (特に女子が増えているような気が)。 今後も、ツアーを企画・運営するNPOの肩に東北観光の復興がかかっているといっても過言ではありません。 平泉を世界遺産にしてくれたユネスコをはじめ、通常の「観光セクター」以外のセクターが東北を支えています。 この新しい流れを、じわじわと観光需要に結びつけていくことが、今後の重要政策になると思います。 さあーっと引いていった人たち(外国人団体客・ツアー客)をまた引き寄せることばかりにお熱ではいけません。(原発問題あるうちは無理じゃね?) 今夏の大人の旅は、東北ボランティアツアー!(2011年夏の東北に行ったという良い思い出を)
第二に、全国的な「エコ・モード」。
「節電」の夏、よりによって予想通り暑くなりました。 暑い都市部を出ていきたい!という願いも予想通り。 これは、4~6月もそうだったのですが、旅行需要はそんなに衰えてはいません。この表は、旅館の「フロント会計システム」と言われる、予約データベースを全国200軒分まとめて集計したものです。 4~6月の予約推移を表したグラフですが、 昨年に比べて「予約が落ちているというわけではない」ようです。
しかし、「ネット予約会社」経由が直前に増えているのが、今年の特徴。 じゃらんとか楽天とかからの予約でしょう。
ところが、実際の旅館はというと…昨年に比べて「売上はダウン」というケースが多いように思えます。 すなわち「単価が大幅にダウン」しているのだと思います。 ネット予約は、「週末比率が高くて、かつ単価が低い」という特徴があるので、致し方ないのでしょうね。
すなわち、エコ・モードとは、「お金のエコ」という意味!
旅行には出るけど、限りなく「コスパのよい旅をしたい」と願っている消費者が多いということです。
言い換えれば、「人のカネ」で動く、いわゆる「法人をはじめとする男性のカネ需要」が減って、「自分のカネ」で動く層が増えていると言えます。 だからもう、「人を喜ばす」ための、会席料理は要らないんだってば!
北海道では、ニセコワイス寶亭留や、あかん遊久の里鶴雅といった、発想の進んだ経営者の皆さんは、この夏「素泊まりや1泊朝食」を打ち出し、「脱・1泊2食」を始めました。 夕食は、町に出たり、バーベキューをしたり、「夕食が自由に解放された」温泉リゾート滞在をしたいという生活者の願いがようやく伝わり始めました。
ちまたでも、うまいものを提供する店はいつも大繁盛。だけど、儲け主義の居酒屋は閑古鳥。 それが旅先にも波及してきているのだと思います。 見た目はきれいだけど、特徴のない、高い会席料理よりは、ガツン系だけど、地元のホンモノの食を食べたい。 そういうニーズがどんどん増えています。
そして、「エシカルモード」と「エコモード」が生んだのが、「民宿女子」(宿坊女子も含む)。 民宿といえば、設備も家庭的で、トイレも外、まあ安いだけ、と思われていたのは昔の話。 ホームステイみたいで、いいじゃない。 それに、地のものを使った料理が食べられるし、気楽でいい。 そんな「エシカル」慣れした、「エコ」な女子たちが、民宿に目をつけ始めたような気がします。
さて、今夏あたりから、民宿から目を離せなくなると思いますよ。