2011.02.03
「女子会」や「ママ会」が盛んです。
リード役はいつも新たな消費を作っている団塊ジュニア世代(30代)。社用族のいない土曜の夜、居酒屋で子連れママ宴会なんてのもよく見かけるようになりました。
ぜひ旅館でも「女子会」をやってくれてもよさそうなものですが、とりわけ若い女性にとって、実に使い勝手の悪いのが旅館なのです。
まず、宿泊人数が変わると料金が変わる点。不公平感なくワリカンにしたい女子にとって、例えば4人(この場合1室)で行くか、5人(この場合2室にしたい)で行くかで一人当たり料金が変わるって、とっても面倒。直前に予定が変わるなんてのは日常茶飯事の女子本位で考えると、旅館料金はそのあり方自体で女子を拒否しています。
旅館の方にしてみれば「そんな時は電話してもらえれば」って言われそうですが、Web予約で完結したい時代、利用客が電話してくることを期待すること自体がナンセンスです。
さらには、「男性が食べる量」に合わされた旅館料理。食べたい物を食べたい時に食べられない、「酒飲み」に合されたペースではトークもイマイチ盛り上がりません。仲居さんとの会話も苦手。ゆえに、女子は「バイキング」が大好き。それも、安ければいいというものではなく、オープンキッチンで手間の掛けられたビュッフェを好みます。
旅館は、そのほとんどが、誰かが一括で料金調整をする「幹事役」がいて、かつ「日本料理」を味わっていただくことをその前提としてしまっています。すなわち、居酒屋感覚で、ワリカンで会費をその場で集め、おいしいものをお腹の具合に応じて食べたいという宿泊客は、どの宿にも行けないのです。バイキングチェーン旅館でさえ、部屋単位の宿泊人数により料金が変わります。結果として、「居酒屋で女子会」になってしまうんですよね。たまには温泉で盛り上がりたくとも・・・。
女子会プランを作るなら、せめて4人以上なら料金は同一(定員上2室使おうが)、料理もシェアできるような大皿で飲み放題付き、くらいにしなくてはね。
さて、予約システムが対応できるかな。
2010.12.30
知らないということは幸せなことなのかもしれません。
旅館の全国データを用い、販路ごとに、週末・平日それぞれの販売比率を出してみました。平日販売比率が高いのは、募集型と呼ばれる広告主体の旅行会社。一方、週末販売比率が高いのは軒並みインターネット予約サイトでした。ここまでは誰もが想定できるでしょう。
次に、そのグラフに「平均単価」を加えてみました。すると、週末比率が高まるに従い上昇してはいくのですが、自社サイトをピークに下降していくのです。つまり、ネット予約サイトは週末比率が高いのに、単価が低いという結果に。さらに、一室当り宿泊人数、一件当り宿泊人数も、単価とほぼ同じカーブを描きました。
このことは何を表しているかというと、このままでは「ネット化すればするほど、経営悪化を招くおそれがある」ということ。誰も「需給バランス」を真剣に考えてこなかった結果です。政府の休日分散化も暗礁に乗り上げてしまいましたし。
それでもインターネットに期待をかけるのは「週末を安く売る以外の対策を誰も思いつかない」からでしょう。
それは「消費者ニーズだから」という理由もあるでしょう。ただ、どの旅館も変わり映えなく、単価でしか比べられない(コモディティ化している)から、そうなってしまうよねえ、というのが消費者の声なき声のような気がします。
抜本的な平日販売策を誰も考えていない。ただ、ネット上に渦巻く消費者の欲望に従い、週末を安く売るだけ。こんな市場なら、産業が衰退していってもおかしくありません。
コモディティ化の結末が「グルーポン」。90%オフ!という衝撃的な価格で投げ売りして消費者に誤解を与えるばかり。
その前に、「旅館の価値」を編集して、世に発信できないものでしょうか。例えば、少数のお客様だけご招待する「レアな地域食材を食べる会」などなど。やることはまだキリがなくあるように思えます。
私の新年のテーマは「観光イノベーション」の実践。井門観光研究所(イカケン)を作り、商品を提案していきたいと思います。
新年もよろしくお願いいたします。
2010.11.24
2011年に観光分野で何がヒットすると思いますか。ずばり、当ててみたいと思います。
そのキーワードは…「古民家」、「民宿」、「パワースポット」。
時代のトレンドを作ってきた団塊世代(60歳代)と団塊ジュニア(30歳代)が孫や子供と田舎に回帰したり、日本で最も多くなったシングル世帯が、パワーをもらいにいきたいという願望が強くなるだろう、という人口構造が生み出す社会的背景がその根拠にあります。事実、田舎体験やパワスポに集客効果を感じている地域は少なくないと思います。
その裏づけとして、ネット検索エンジン「グーグル」の一機能である「グーグルトレンド」で、そうしたキーワードを検索してみてください。検索数の推移が年々上昇傾向であることがわかると思います。すなわち、情報を探そうと検索する人が増えているのです。
一方、「旅館」というキーワードを見てみましょう。旅館業界の方が、危機感を抱くことは間違いありません。では、「旅館、民宿」と入力してみてください。今年の夏、「民宿」が「旅館」についに追いついた(?)現象は、キーワード検索上のことだけだとよいのですが。そうではなく、旅館の今まで通りのサービスが、時代についていけていないのだとしたら大変。 その危機感をアクションにつなげて欲しいと願っています。
ショッキングな検索は、まだまだあります。怒られるかもしれませんが、禁断の検索は「JTB、じゃらん」。
あるいは、「じゃらん、楽天トラベル」と検索すると、その勢いを感じ取ることができます。
ネット宿泊予約サイトの事実上の手数料アップに反対運動を起こすことは、旅館の気持ちとしては十分に理解できるものです。しかし、反対運動を起こしている陰で、しっかりと時代を感じ取り、自らの改革を起こすことが必要です。
この記事を読んで、「グーグルトレンドって何だ?」と言葉すらわからないようであれば、幸せな隠居生活を考えていたほうがよいのかもしれません。
きっと、青年部の皆さんあたりなら、すぐにパソコンを開き、次なるアクションに向けた議論を始めていることでしょう。精神論はもう不要。具体的な改革が重要なのです!